【ローマ、パリ共同】トランプ米政権による欧州連合(EU)への関税強化の影響が懸念されるとして、イタリアやフランスなどのワイン業界から悲鳴が上がっている。主要市場の米国への輸出停滞は不可避な状況。成長が見込まれるノンアルコール市場に着目し、飲酒に厳しい中東などへの販路開拓を目指す動きも出ている。
「収益減は避けられない」。業界団体「イタリアワイン連合(UIV)」のフレスコバルディ会長は警鐘を鳴らした。米国への輸出は全体の24%を占めており、年間3億ユーロ(約490億円)以上の損害が出ると試算。米国の輸入企業などと協力してコスト上昇分を吸収し、消費者に価格転嫁せずに「イタリアワインの地位を守る」ように提案した。
UIVによると、米国に昨年輸出されたイタリア産ワインは約4億8千万本。価格変動に左右されにくい高級ワインは2%に過ぎない。
フランスでも状況は厳しい。業界団体、ワイン・スピリッツ輸出業者連盟は、米国でのフランス産ワイン・蒸留酒の売り上げが少なくとも20%減少すると予測した。