【カンヌ共同】フランスで開催中の第78回カンヌ国際映画祭で15日、「ある視点」部門に出品された石川慶監督の「遠い山なみの光」が公式上映され、観客から大きな拍手が起きた。石川監督や主演の広瀬すずさん、原作者でノーベル賞作家のカズオ・イシグロさんらは手を振って応えたり、抱き合ったりして喜んだ。上映後、取材に応じた広瀬さんは「映画が皆さんに届いていると実感できた」と話した。
イシグロさんは「狭い部屋で書いた小説が、カンヌで温かく歓迎されることになるとは思わなかった。すてきな映画だと確信している」と述べ、石川監督は「(観客の)顔を見たら泣きそうになった。チームでこの瞬間をシェアできて良かった」と笑顔を見せた。
映画は原爆による被害から復興する1950年代の長崎で、夫と暮らす悦子(広瀬さん)が自由を求める佐知子(二階堂ふみさん)と出会い、変化していく姿を描く。80年代の英国で暮らす悦子が、娘に当時の記憶を明かす形で物語が進む。
日本では9月5日に全国公開される。