ベルギー南部のティアンジュ原発(共同)

 【ブリュッセル共同】ベルギー政府は15日、連邦議会下院が原子炉の新設を認める議案を可決したとして、脱原発政策を撤回する方針を発表した。ビエ・エネルギー相は「現実的で持続可能なエネルギーモデルへの道を開くためだ」と政策転換の意義を強調した。

 2011年の東京電力福島第1原発事故後、原発の安全性への懸念が指摘されたが、欧州では温室効果ガスの排出を削減する手段の一つとして見直す動きがある。

 ベルギーは03年、北部ドール原発に4基、南部ティアンジュ原発に3基ある原子炉を25年までに閉鎖する法律を施行した。だがロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアからのエネルギー輸入への依存を減らすため、22年に計画を一部撤回し、2基の稼働を10年間延長すると発表していた。

 ベルギーは原発が国内発電量の約4割を占める。今年2月に発足したデウェーフェル首相率いる5党連立政権は原子力の割合を増やす方針。ビエ氏は地元メディアに、脱原発にかじを切っている電力会社と協議を進める考えを示した。