丸尾錦作
昭和期に地元の人たちによって建立された丸尾錦作の顕彰碑=6日、岐阜市加納清水町、清水緑地

 幕末の加納藩に生まれ、大正天皇と昭和天皇の幼少期に教育係を務めた丸尾錦作(1856~1925年)。厳格な教育者として、時間を守られなかった幼い昭和天皇をピシャリと叱りつけた逸話も伝わる。没後100年を迎えた今月、岐阜市で記念講演会が開かれ、子孫や教育関係者らが遺徳をしのんだ。今年は「昭和100年」。有識者は、昭和天皇に慕われた教育者の再顕彰を通じて岐阜に「教育力、文化力の土壌があり、人材を生み出す底力」が息づくことを見つめ直す契機に、と提言する。

 「やがて天皇となる相手の立場を思うからこそ、間違ったことは正す。深い愛情を持って厳しく接した」。記念講演会で講師を務めた京都産業大名誉教授の所功さん(83)=揖斐郡揖斐川町出身=は、丸尾の教育者としての信念を表現した。

 加納藩の下級武士の長男として生まれた丸尾は、...