石破茂首相が、江藤拓氏の後任の農相に自民党の小泉進次郎前選対委員長を起用したのは、高止まりするコメ価格の引き下げに向けて、発信力や改革意欲に期待したためだ。過去の自民党総裁選で連携した良好な関係に加え、政権の後ろ盾である菅義偉副総裁への配慮も働いたとみられる。
首相は、安倍政権時代に党農林部会長として農協改革に携わった小泉氏の実績を評価。農水族のイメージが薄い小泉氏なら、農政改革を実現するため業界団体に切り込めると踏み、白羽の矢を立てた。
選考過程では、農相経験者で実務能力に定評のある斎藤健前経済産業相も浮上した。ただ、首相と小泉氏は2021年の総裁選で、河野太郎前デジタル相を含め「小石河連合」を組んだ仲。党幹部は「首相と距離がささやかれる斎藤氏よりも、相性が良い小泉氏を選んだ」と見立てる。
自民ベテランは「小泉氏の閣内登用を期待する菅氏の意向を酌んだのだろう」と読み解く。実際、首相から農相への起用を伝えられた小泉氏は21日午後、党本部に菅氏を訪ねた。