将棋の竜王戦を主催する日本将棋連盟と読売新聞東京本社が、指し手記録(棋譜)を許可なくユーチューブで動画配信され損害を受けたとして、配信者に計約1600万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は21日、「営業上の利益の侵害に当たる」として、配信者に対し、読売新聞へ約840万円を支払うよう命じた。
判決によると、読売新聞は将棋連盟と棋譜を独占的に管理する契約を締結。第三者が利用する際には、許諾料を支払うガイドラインを公表していた。配信者は2022年と23年の竜王戦棋譜を無断で利用し、計153本の動画をユーチューブで配信して利益を上げた。
中島崇裁判長は、棋譜動画の無断配信は、許諾料で対価を得る収益モデルを成り立たなくさせる恐れがあると指摘。主催者が竜王戦開催にかけた費用や労力に「フリーライドする」とし、営業活動の不利益は大きいと判断した。
一方、配信によって読売新聞からの契約金が減額されておらず、損害は受けていないとして将棋連盟の請求は退けた。