パリ五輪男子100メートルバタフライ予選でスタートする松元克央=昨年8月、パリ郊外

 ドーピング容認の国際大会「エンハンスト・ゲームズ」の会長を務めるアーロン・デスーザ氏は、大会は「人体の潜在能力」を解き放つ試みだと説明する。だが、前代未聞の計画に対しては国際的なスポーツ組織から批判が殺到。国内の選手やコーチからも22日、戸惑いや危惧の声が相次いだ。

 競泳男子200m自由形で2019年世界選手権2位の松元克央は、薬物が容認される大会は「全く別の競技」だとし「単純にタイムを比較してほしくない」と話す。高額の賞金が用意されていることで「ドーピングによる体の変化や健康への影響に目をつぶり、命懸けで臨んでくる選手が増えないか心配」とも口にした。

 数多くの五輪メダリストを育てた競泳の平井伯昌コーチは「日々の健全なトレーニングで五輪、世界選手権に臨んでいるわれわれとはかけ離れており、対極にある。世界が違う」と語った。

 重量挙げで昨年のパリ五輪男子102キロ超級代表の村上英士朗は「薬でずるをした人たちが注目を浴びるのは、競技者として悔しいこと。スポーツ業界全体に悪影響を及ぼす」と断じた。