登山者が撮影した写真を集め、山岳環境の比較ができるウェブサイト「山岳写真データベース」
 「山岳写真データベース」上に公開された2022年撮影の大菩薩峠の写真=山梨県(東邦大の下野綾子准教授提供)

 今と昔の山岳環境を比較するため、登山者が撮影した写真約600枚を集めたデータベース(DB)を、日本山岳会と東邦大、東北大がウェブ上に公開した。植生の変化などを見える化し環境保全につなげる狙い。会員の下野綾子東邦大准教授(植物生態学)は「国内では少ない山岳環境のデータを補いたい」と、植生状況が分かる写真の提供を呼びかけている。

 固有の動植物が生息する高山帯は生物多様性を守る上でも注目される。ヨーロッパアルプスでは1800年代から調査が進み、地球温暖化の影響による高山植物減少などの報告がある。国内でも同様の変化が予想されるが、山岳環境の研究者自体が少なく、比較対象となる過去のデータも少ないのが課題だという。

 そこで一般登山者が自身の記録として残すことが多い写真に着目。1960年代から日本山岳会会員が撮影した写真約576枚を4月に公開した。今後も拡充させる。90年代以前の写真が特に不足しているという。

 DBの閲覧や問い合わせはhttps://www.mountain―photo.org/