米航空宇宙局(NASA)は30日付で、日本も参加する国際月探査「アルテミス計画」の大幅変更などを盛り込んだ2026会計年度の予算要求を公表した。政府が開発する大型ロケットや宇宙船は26年に予定する最初の月面着陸までで退役させ、以降は民間企業に任せる。日本人飛行士が滞在予定だった月周回基地「ゲートウエー」は中止する。
要求額は25年度実績の24%減となる約188億ドル(約2兆7千億円)。トランプ大統領が推す有人火星探査を重視する一方、地球観測や惑星探査などの科学予算はほぼ半減。理系人材の育成関連はゼロにした。議会の反発も予想され、今後の審議に注目が集まる。
日本はアルテミス計画でゲートウエーの機器提供や物資補給で協力し、飛行士を1人滞在させる機会を得ていた。NASAはゲートウエーを中止し、機器などを準備していた参加国や企業に別の使い道を検討してもらう意向だ。火星探査では、ロボットや通信、補給技術の開発に約10億ドルを充てる。民間企業に探査機器の輸送を委託する事業も始める。