福井県立大などの研究チームは3日、北海道東部の標茶町や厚岸町で、牛60頭以上を襲撃したヒグマOSO(オソ)18の骨を調べ、生前食べた物の傾向を分析した結果、本来雑食のはずが、エゾシカを中心とする極度の肉食だったと発表した。標茶町で駆除された他のヒグマを調べたところ、オソと同様の傾向が確認された。研究成果を米科学誌に掲載した。
オソは野生のヒグマで、2019年以降、放牧中の乳牛を襲い、地元のハンターに23年7月、駆除された。チームはオソなど標茶町周辺で駆除されたヒグマと北海道の他の地域のヒグマ計約600体について、上腕部などの骨を炭素・窒素安定同位体分析と呼ばれる手法などで調べた。
この結果、オソは3歳から駆除される9歳まで、エゾシカなど動物性の栄養源に強く依存していたことが判明。ヒグマにとって、春先などを除いて、大人の健康なエゾシカの捕食は難しいとみられるが、季節を問わず長期間食べていた形跡があるという。