ふるさと納税制度の対象から除外となった長野県須坂市の地元農家からは「問題発覚後も市は調査せず、被害を拡大させた。ブランドが傷つけられただけだ」との声が上がる。同市でリンゴやモモ、ブドウを育てる果樹農家市川秀樹さん(53)は「本来地元を良くするための制度のはず。風評被害で足を引っ張られている」と訴える。
2019年以降、返礼品事業者の日本グルメ市場(和歌山県有田市)が山形県産のシャインマスカットなどを「長野県産」と偽っていた。市は24年12月に偽装を把握したものの、25年2月まで寄付を募集。総務省は市の対応を問題視し、除外を6月13日に決めた。
市川さんは約10年前、ふるさと納税の返礼品事業者に登録。送料など事務経費は自治体負担でメリットが大きく、最近は売り上げの4〜5割を占めていた。産地偽装が発覚した今春以降「『ちゃんと須坂産を送ってくれたか』との問い合わせが増えた」とこぼす。
対応の検証を進める市の第三者委員会の会議日程は非公表だ。市川さんは「全ての情報を開示し丁寧に説明して」と求めた。