法務省に申し入れ後、記者会見する金沢刑務所に勤務していた医師(手前)=16日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

 金沢刑務所と東京拘置所で勤務していた医師や看護師らが16日、両施設で収容者への不適切な医療対応や医療スタッフへのパワハラなどがあったとして、法務省矯正局に適切な調査を求める申し入れをした。これまで公益通報をしてきたが十分な調査がなかったとし「正確な事実関係を把握し、適切な是正措置を講じること」を求めた。

 申し入れ書によると、金沢刑務所では2023年ごろ、糖尿病患者へのインスリン投与を急に中止したり、摂食障害の受刑者への点滴指示を拒否したりした。こうした事態を公益通報した医師らが雇い止めや不当な人事異動を通知されたという。東京拘置所では、医務部長が医師らにパワハラ発言をしたほか、慣例に反する急な配転命令があったとしている。

 金沢刑務所に勤務していた医師は東京都内で記者会見し「刑事施設の職員には依然として『一般に比べて医療水準が劣ってもいい』との根強い差別意識があると思う」と指摘。代理人の海渡雄一弁護士は「適切な医療を行おうとした人にひどい不利益が課されている」と述べた。