2025年大阪・関西万博:日本のNSGがイタリアパビリオンのイベントで8000万ユーロの投資を発表
*「ガラス生産量は年間14万トンから16万トンに」
【大阪2025年6月18日ANSA=共同通信JBN】建築、自動車、技術ガラス分野向けのガラスおよびグレージング製品を製造する日本の大手メーカーであるNSGグループは、2025年大阪・関西万博のイタリアパビリオン内オーディトリウムで行われたイベントで、アブルッツォ州キエティ市近郊のサン・サルボ工場の高性能ガラス窯を改修するために8000万ユーロを投資すると発表しました。
サン・サルボ工場は1962年設立、1994年にPilkingtonグループによる取得で民営化され、その後2006年に日本のNSGグループに買収されました。
同工場は2000人以上の従業員を直接雇用しており、周辺産業を通じて同数の従業員が間接雇用されています。
今回の新たな投資により、板ガラスの生産量は現在の年間14万トンから16万トンへと14%増加すると予想されています。
高性能ガラス窯の改修により、同工場では、すべての主要自動車グループが使用する部品の製造用に加工する板ガラスに加え、建築やデザイン用のガラス生産も可能になります。
これにより、すべての部門のガラス生産サイクルがサン・サルボ工場内で完結する可能性があり、グローバル規模でコストの最適化が図られます。
新たな投資は環境の持続可能性の点でもプラスの影響を与えることが見込まれ、総じて年間350万立方メートルのガスと年間26万立方メートルの水を節約することが可能になります。
この窯は、水素や電気融合など、より持続可能なエネルギー源を将来導入することも視野に設計されています。
冷修技術による窯の改修は2026年までに完了する予定です。
ポテンツァ近郊のメルフィに砂採取場を、ベネチアのポルト・マルゲラとトリノ近郊のセッティモ・トリネーゼにそれぞれ建築用と自動車用のガラス部品生産工場を構えるこの産業グループの戦略は、さまざまな参照市場に見られる一般的な傾向に逆行し、生産サイクルの社内完結と生産コストの最適化を目指しています。
アブルッツオ州のマルコ・マルシリオ(Marco Marsilio)知事は、企業・メイド・イン・イタリー省(MIMIT)および政府系投資機関Invitalia(イタリア投資誘致・事業開発公社)と共同で開催したイベントの最後に、「NSGグループがサン・サルボ工場のフロート窯建設に8000万ユーロの投資を割り当てると発表したことを知って、うれしく思います」と述べました。
2025年大阪・関西万博のイタリアパビリオン内オーディトリウムで開催されたイベントでは、アブルッツォ州で事業を展開する日本企業3社(デンソー、NSGグループ、本田技研工業)が注目を集めました。
マルシリオ知事は「アブルッツォ州で生産している日本企業から大阪で良い知らせを受けており、改めてこの地域の大きな魅力が示されています」と述べました。
アブルッツォ州労働・産業局評議員のティツィアーナ・マニャッカ(Tiziana Magnacca)氏は「Pilkington ItaliaのGraziano Marcovecchio社長が、ここ大阪で、アブルッツォ州を特集する万博ウィーク中に、この州に進出している日本企業3社を称えるイベントに出席し、NSGグループがサン・サルボの生産拠点で稼働しているフロート窯1基の改修に投資すると発表したことを喜ばしく思います」と言及しました。
同氏は「20年間の耐用年数を誇る新しい窯は、NSGグループのアブルッツォ州でのプレゼンスを引き続き確かなものとし」、そして「それによって、サン・サルボ工場に新たな展望がもたらされます」と付け加えました。
一方、2025年大阪・関西万博のイタリア政府代表(Commissioner General)であるマリオ・バッターニ(Mario Vattani)氏は、イタリアパビリオンは「発展外交の前哨基地」としての役割を担うことを確認したと述べました。
「NSGグループが行ったような重要な経済関連の発表は、民間企業と公的機関の総合的な協力を通じてイタリアシステムが持ち得る力強い魅力を強調しています」
「人口がわずか100万人強のアブルッツォ州に、世界最大の自動車ガラス製造工場があり、自動車関連企業の数が最も多いのです。そのことについて、考えてみてください」
MIMITのInvestment Facilitation and Unblocking Unit(投資促進・障害解消ユニット、UMASI)のジェネラルディレクター、Giovanni Savini氏は「この投資は、競争力があり最先端の地域でもあるアブルッツォ州の戦略的重要性を裏付けるものです」と述べました。
「このような投資は、地域の競争力を高め、イタリアシステムへの投資に対する外国の大手産業グループの関心を刺激するというMIMITの取り組みを示していると同時に、そのことを具体的に表しています」
ソース:General Commissioner’s Office of Italy for Expo 2025 Osaka