不登校の小中学生の増加が問題となる中、本巣市では新たな支援策として、市内の給食センターを開放して無料で給食を振る舞う事業を始めた。学校に行けない子どもたちの居場所として、社会とのつながりを築くきっかけにしてもらう。市教育委員会によると、県内では初の取り組みという。
本巣市見延の市学校給食センターの会議室を「もとまる食堂」と名付け、週1回、午前11時30分から午後1時まで開放する。20食を用意し不登校の児童生徒に無料で提供するほか、保護者も1食254円で一緒に食べることができる。
初回の16日には、子ども7人と保護者8人が足を運んだ。両親と訪れた小学4年生の男児は1年以上ぶりの給食といい、おいしそうにハヤシライスを頬張っていた。父親(39)は「学校とのつながりを感じられるし、家だと同じようなご飯が続いてしまうので、給食を食べられるのはありがたい」と笑顔を見せた。
市学校教育課の岡田芳子さんは「なかなか学校に来られない子が給食センターに来てくれたのは、やはり給食がなせる業」とし、「これをきっかけに外に出ていろいろな人と触れ合い、興味関心を広げてほしい」と期待を語った。
市によると、昨年度は市内約2500人の児童生徒のうち30日以上欠席した子どもは112人で、うち100日以上は37人だった。川治秀輝教育長は「地元の食材を使ったおいしい給食と、安心できる居場所がここにはある。子どもが心の扉を開くきっかけとなれば」と話す。
先行事例として、東京都八王子市では2023年2月から同様の取り組みを始め、市内5カ所の給食センターを給食のある日は毎日開放している。市学校給食課の担当者は「不登校の子どもの1割弱が利用している。家の外に居場所ができ、給食センターをきっかけに学校に戻れた子もいる」と成果を強調。「栄養バランスの取れた食事が安心感にもつながっている」と、保護者の負担軽減にも効果があると説明した。
文部科学省によると、23年度、全国の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒は全体の3・7%に当たる34万6482人。11年連続の増加で、過去最多を更新した。
(織部俊太朗)