少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策、キャリア教育について考えを聞きました。第1回は岐阜北高校(岐阜市)の上田和伸校長(58)。県内有数の進学校の一つであり、「自由」のイメージも強い高校です。上田校長は「探究心」を重視する考えを話しました。

 岐阜北高校 所在地は岐阜市則武清水。県立の普通科高校で、1学年の入学定員は360人(令和7年度から320人)。
岐阜北高校=岐阜市則武

 ―岐阜北高校の特徴は。 

 岐阜北高校は自由度が高い学校というイメージは今も昔も変わらない。学校としても生徒の希望にはできるかぎり応えたい。一方、県内有数の進学実績のある学校として、このレベルを維持していくことは本校の使命でもあり、地域の期待も大きい。

 ―自分で勉強できる生徒が多い?

 そうですね。本校は生徒と教員が一緒に学校を作り上げていく精神を持っている。勉強に限らず、校則や行事も生徒の主体性を重視する。

 特に、生徒会が非常に重要な活動をしている。定期的に校長と面談したり、生徒会独自でアンケートを作成、生徒の実態把握に努めている。そうしたものを意見として学校に提示する。どうしても職員全員に話がしたい案件があれば、職員会議で生徒が意見を述べることもある。

 がやがや会議が最たるもの。生徒と教師が目線を合わせた状態で今後の岐阜北高校をどう良くしていこうか、等のアイデアを出し合う会議だ。学校というところは、伝統だからとか、代々こうしているなどの裏付けのない「しきたり」が伝わっていくことがある。そうしたものを継承することも大事だが、今の生徒がそれらをどう考えているのかを受け止めたうえで学校の方向性を考えることも大切。会議で出された意見を基に改善できるところは改善すべく動いている。

 なぜこうなのか?というアカウンタビリティー(説明責任)に耐える理論を持っていないといけない。

上田和伸校長=岐阜市則武、岐阜北高校

 ―なぜこういう取り組みが必要なのか。

 今、探求的な授業が進んでいる。大学入試でもそうした姿勢を重視する改革が進んでいる。「自分たちで課題を発見し、答えを模索する」。こうした姿勢は何も授業だけで養われることはない。人間として考える癖が必要だ。当たり前のように起こっている事象でも常に疑問を持つことが大事であると考える。

 われわれの世代は「先生の言われることをやっておけば間違いない」、というように育ってきたが、大学に入学して突然好きな研究しろ、と言われてもなかなか研究できなかった。それはまさにやらされてきたから。それではこれからの予測不能な時代を生き抜くことはできない。授業も含めた高校生活の場において、自ら考え、行動する癖をつけることが必要だ。

 普段の生活で生まれた疑問を解決するに勉強は必要なんだ、だから勉強する。生徒たちにはそうした視点を持ってもらいたい。勉強するのはなんのため? 進学校の生徒からはよく出てくる質問だ。確かに大学に行くためでもあるが、自分の課題を解決するために勉強することが大事だ。

 ―制服のルールも変えた。

 今は1年を通して極端に暑い、または寒い期間は、暑さ対策、寒さ対策をした自由な衣服を着て授業を受ける期間としている。

 ―高校生らしくない服を着てくる生徒はいないのか。

 制服等かつては厳しく規定されていた。高校生らしくない服を着ることは規則に対する反抗心があったのではないか。逆に縛られないと意外とそんなに問題になることはない。

 ―生徒を信頼しているのですね。

 信頼というか・・・むしろリスペクトしているといった方がいいかもしれない。

岐阜北高校校門=岐阜市則武

◆生徒自身の希望を叶える進路指導

 ―進学実績の特徴は。

 令和6年度入試は国公立大学の合格者が過年度生を含めて244人。うち、現役は230人だった。卒業生は353人だったので、現役生の65%が国公立に合格した。数だけでいえば岐阜県で一番多いと思われる。最多が...