ワカサムラサキエビの雄(京都大の辺見由美助教提供)

 はさみがうちわのような形のエビが見つかった。非常に不思議な形と専門家も驚き「カニのように振って、求愛行動に使う可能性もあるのでは」と推察する。採集されたのは、福井県と京都府にまたがる若狭湾の水深約100メートルの地点だった。

 千葉県立中央博物館の駒井智幸地域連携課長(59)と京都大の辺見由美助教(34)の共同研究グループが発表した。

 辺見助教が2018〜23年、京都府伊根町沖で採集し、駒井さんが形態やDNA配列を分析した。その結果、全長1センチほどの「ワカサムラサキエビ」の雄だと分かった。今年2月、ニュージーランドの国際学術誌に研究成果が掲載された。

 新種のワカサムラサキエビを発見し、若狭湾にちなんで名付けたのも駒井さんら。23年に発表した時は雌のみで、今回の特徴の“うちわ”はなかった。

 駒井さんらによると、海底から回収するまでにひどく衰弱したり、傷ついて死んだりするため、生態にはまだ不明な点が多いという。