福島県西郷村の住宅裏に違法に盛られた土砂(上、2024年2月)と、行政代執行で災害防止措置がなされた盛り土(今年3月、いずれも福島県提供)
 静岡県熱海市の不適切盛り土が崩れ土石流が発生した現場=2021年7月4日
 盛り土行政代執行の未回収費用

 災害防止措置が必要な盛り土の工事を自治体が代行し費用を一時負担する「行政代執行」について、共同通信が実施状況を調べた結果、造成業者から費用が回収できない事案が5月までの5年間に7県市で8件あり、総額が24億9千万円に上ることが26日、分かった。徴収率は1・9%にとどまる。本来は造成業者が工事を行う必要があるが対応しない上、多くは支払い能力もないという。

 安全確保のため撤去が不可欠な一方、行政が投入した多額の税金を回収できない実態が判明。識者は、警察と連携した違法盛り土をさせない取り組みや、代執行着手前に財産仮差し押さえができる制度の整備を訴える。

 共同通信は20年4月1日から今年5月23日までの状況を調査した。

 その結果、8県市で11件あり、計49億1千万円の費用が見込まれる。宮城県や埼玉県など6県と神戸市が行った8件は25億4千万円の費用がかかったが、24億9千万円が未回収。最大は静岡県の11億3千万円で、熱海市の大規模土石流の起点に残った土砂を撤去した。ほかの3件は代執行の実施中となっている。