武藤容治経済産業相は27日、2025年版の通商白書を閣議に報告した。4月上旬のトランプ米政権の実効関税率が25・9%に上り、米国が保護主義を強めていた1933年の19・8%を超える「歴史的規模」と指摘。米国の通商政策は高関税に加え「一貫性を巡るあいまいさが不確実性を高める要因となっている」と説明した。
実効関税率は実際に輸入品に適用される関税率を指す。世界貿易機関(WTO)によると、単純平均した日本の関税率(2023年)は3・7%。
米国の実効関税率は、対中関税を一時的に145%に引き上げたことを反映した。5月の引き下げで足元の税率は低下している。米国では、国内産業の保護を目的に高関税を課すスムート・ホーリー法が1930年に成立し、その後に実効関税率が急上昇した経緯がある。
白書は、米政権の高関税政策の狙いや背景として、貿易赤字解消や製造業の国内回帰、経済安全保障、税収確保、過剰なドル高の修正を挙げた。その上で「異なる政策目標の相互関係や優先順位が不透明だ」と分析した。