神奈川県座間市の9人殺害事件で白石隆浩死刑囚(34)の刑が執行された27日、被害女性の恩師が取材に応じた。「当然との思いはあるが、被害者の苦しみや恨みが晴らされたとは思えない」と複雑な思いを吐露した。
恩師は、埼玉県所沢市の大学2年だった女性=当時(19)=の中学校時代の担任で元美術教師の猪俣修さん(69)。裁判を傍聴し、法廷で白石死刑囚の姿を描いた。「無表情で、『すまない』という顔は一度もしなかった」と語り「きちんと罪に向き合えていない」と感じたという。
死刑制度には反対だが、裁判で事件の詳細を知り、「許しがたい」との気持ちを抱いた。一方で、死刑囚がどういう人間だったのか、なぜ事件を起こしたのかとの疑問は残ったままだ。
猪俣さんは教え子だった女性に思いをはせた上で「執行されても事件がなかったことにはならない。もっと生きて償ってほしいという思いも残る」と明かした。