農林水産省がミニマムアクセス(最低輸入量)による主食用米の輸入の入札を前倒しした。備蓄米投入の効果で、スーパーなどでのコメ5キロの平均販売価格は3千円台に下がり始めたが、銘柄米に絞ると依然4千円台が続いている。物価高が直前に迫る参院選の争点となる中、政府は主食の価格高止まりへの警戒を緩められずにいる。

 ミニマムアクセスによる主食用米は、米カリフォルニア産のコメなどが輸入されており、外食業界を中心に根強い需要がある。政府は、輸入前倒しにより相対的に外食など業務用に回る銘柄米が減ることで、スーパーなどに並ぶ銘柄米が増えて価格が下がり、消費者の不安や不満の解消を図れると期待する。

 ただ初回で輸入する主食用米は2万7千トンとわずかな量にとどまる。通年で輸入できる量には上限もあり、価格引き下げ効果は未知数だ。実際の引き渡しは9月下旬が見込まれることから、一部の農家や農業協同組合(JA)の間では新米の価格下落につながるのを懸念する声も出ている。