ロシア軍の超音速戦略爆撃機ツポレフ22M3=2022年9月、ロシア極東沿海地方(ロシア国防省提供・タス=共同)

 【キーウ共同】フィンランド放送協会(YLE)は28日、ロシアが戦略爆撃機の製造拠点としている中部カザンの航空機工場を拡張していることが衛星画像で分かったと報じた。ウクライナ攻撃に使用する機体を製造している可能性があるという。

 ウクライナは今月、ロシア各地の航空基地を無人機で奇襲攻撃し、超音速戦略爆撃機ツポレフ22M3など約40機を損傷させた。ロシアはカザンの工場で、失った航空戦力の穴埋めを図っているとみられる。

 YLEは今年5月末と昨年の工場の衛星画像を比較。敷地内に複数の建物が新たに建設されたことを確認した。長さ約320メートル、約1万9千平方メートルの施設もあり、サッカー場3面に相当するとしている。拡張には約10億ユーロ(約1700億円)が充てられ、核兵器搭載可能な軍用機の製造や、旧型の改修を進めている。

 一方、ロシアはウクライナ侵攻に伴う欧米の経済制裁により、西側の部品が入手困難になっており、航空機の生産自体は減速している。YLEは、工場の拡張により問題が解決するわけではないと指摘した。