【ローマ共同】イタリア有数のリゾート地として知られる南部カプリ島の自治体が、観光の妨げとなる客引き行為を厳罰化した。「質の高い観光を取り戻すために必要だ」と説明するが、島内ではオーバーツーリズム(観光公害)に悩みが深い。地元住民を置き去りにして旅行者に配慮することに疑問の声も上がる。
カプリ島はナポリの沖に浮かぶ面積約10平方キロの小さな島で、フェリーのみでアクセス可能。「青の洞窟」など豊かな自然があり、古代ローマ時代の皇帝にも愛された。
カプリ市によると、規制は悪質な商店やレストランへの対策を主な目的とする。公共の場で観光客や住民に対し、メニューやパンフレットを持って近づき、しつこく宣伝するのを禁ずる。違反には最大694ユーロ(約11万円)の罰金や最長3日間の営業停止も規定する。
パオロ・ファルコ市長は「抑止効果はすぐに表れるはずだ」と期待する。消費者団体も「市民と観光客を悪質な業者から守る、勇気ある決断だ」と歓迎している。