ガザ南部ハンユニスで、ガザ人道財団から受け取った物資を運ぶパレスチナ人ら=5月29日(ロイター=共同)

 【エルサレム共同】パレスチナ自治区ガザでの米国とイスラエルが主導する物資配給について、イスラエル紙が兵士の証言を基に、住民へ「軍が意図的に発砲している」と報道し波紋を広げている。5月下旬から始まった配給を巡っては、拠点周辺でガザ住民の殺害が相次ぎ、保健当局は2日、死者は640人と発表。支援団体は「支援を装った虐殺だ」と非難する。

 物資配給は従来、国連中心に約400カ所で実施されてきたが、イスラエルは「イスラム組織ハマスが物資を奪う」と主張し、枠組みを変更した。米国と共に設立した「ガザ人道財団」が中部と南部の計4カ所で行う。

 6月27日のハーレツによると、配給は通常、毎朝1時間のみ。拠点周辺の任務に就いた兵士らは配給時間前に到着した住民らに発砲したと証言した。明らかに脅威がない場合も司令官は発砲を命じたとしている。

 イスラエル軍は当初、ハーレツの報道を否定したが、地元メディア「タイムズ・オブ・イスラエル」は、軍が拠点周辺で民間人を殺害したことがあると認めたと伝えた。