不正アクセスでSBI証券の口座を乗っ取られ、保有する有価証券数千万円相当を勝手に売却されたとして、大学講師の男性が4日、同社に返還を求めて東京地裁に提訴したと明らかにした。

 男性は里吉竜一さん(60)。訴状などによると、今年4月に不正アクセスを受け、不動産投資信託(REIT)を勝手に売られた。売却金は特定株の売買に使われ、口座には数十万円分の株式しか残っていなかったという。SBI証券から具体的な補償の説明はないとしている。

 提訴後に東京都内で記者会見した里吉さんは「生活の基盤全てをかけ、25年以上運用を続けていた。金融機関には顧客の財産を保護する義務がある」と訴えた。

 SBI証券は「訴状を受け取っておらず、コメントできない」とした。

 不正アクセス被害を巡っては、5月に大手証券10社が一定の補償をする方針を発表。野村証券や大和証券などは、顧客に明確な過失がない場合に勝手に売却された有価証券を返還する措置を取ると決めている。