TSMCのロゴ=台湾・高雄、6月(ロイター=共同)

 【台北共同】米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは4日、半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)がトランプ米政権による関税政策への対応で米国工場への投資を優先させるため、熊本第2工場(熊本県菊陽町)の建設を遅らせる方針だと報じた。計画に詳しい関係者の話としている。

 同紙は「貿易を巡るトランプ大統領の強硬姿勢が、同盟国を犠牲にして米国に投資を引き寄せている」一例だと指摘している。

 第2工場の着工は当初2025年3月までとしていたが、その後25年内に延期。魏哲家会長兼最高経営責任者(CEO)は熊本の渋滞などの「交通問題」を遅れの理由に挙げていた。

 同紙によると、計画に詳しい関係者は第2工場の建設が「さらに遅れる可能性がある」とし、具体的な着工時期を予測するのは既に難しくなったと説明した。

 トランプ政権は高関税政策を掲げることで米国の製造業復活を目指す。海外企業に対し「米国で製造すれば関税はかからない」と主張している。