「格差のさらなる是正は喫緊の課題だ」。前回の2022年参院選を巡る「1票の格差」訴訟で、最高裁はこう指摘し、国会に議論を促した。だが、この間に是正されないまま今回の選挙戦がスタート。司法関係者からは「司法軽視だ」との声も上がる。
最大格差3・03倍だった22年参院選について、23年10月の最高裁大法廷判決は、「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区により、格差がそれまでの5倍前後から縮小し「著しい不平等状態はひとまず解消され、その後も拡大傾向にはない」ことなどを理由に「合憲」と判断した。
一方で、判決末尾では「抜本的な見直しも含め、広く国民の理解も得られる立法的措置が求められる」と注文を付けた。さらに「不均衡は明らかに許容される範囲を超えている」などとして、「違憲」や「違憲状態」との個別意見も付された。
しかし、その後見直しは進んでいない。与野党各会派でつくる参院改革協議会の選挙制度に関する専門委員会は昨年6月に報告書を取りまとめたが、区割りについて意見が分かれ、具体的な制度設計に至らなかった。