【北京共同】中国当局が2015年に人権派弁護士ら約300人の一斉連行に着手してから9日で10年。習近平指導部は国家安全を名目に「社会秩序を乱す重大犯罪グループ」と見なす弁護士や活動家を弾圧してきた。欧米と異なる独自の「法治」を推し進め、反体制的な言論や活動への監視と圧力を強めている。
弁護士らの一斉連行は着手日にちなみ「709事件」とも呼ばれる。15年8月に拘束され、国家政権転覆罪で服役した人権派の元弁護士、王全璋氏は「“709”から10年に当たる今年は締め付けが格段に厳しい」と指摘する。
王氏は20年に出所したが、その後も当局の監視下に置かれ、外出時の尾行や嫌がらせが続いている。王氏は「中国では人権よりも国家統治が重視されている」と嘆く。
最高人民法院(最高裁)は今年6月、弁護士の権利や人権に基づく司法の保障を目的に新組織を設置したと発表。だが、北京の男性弁護士は国家安全に関わる事案などでは、当局側が弁護人を指定することがほとんどで「中国の法治は崩壊しかけている」と語った。