年間約270万個の製品を生産する光洋陶器のトンネル窯=土岐市泉町久尻、光洋陶器

 岐阜県土岐市内の陶磁器メーカー42社が、製品を焼成する際の燃料消費量を算出し、燃料消費の低減につなげる取り組みを始めた。2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを意識し、市陶磁器試験場・セラテクノ土岐が2月に「脱炭素美濃焼SDGsプロジェクト」を打ち出し、メーカー側に参加を呼び掛けた。プロジェクトとは別に、国際基準に基づいて独自に温室効果ガス排出量の算出に乗り出すメーカーも。大量の熱エネルギーが必要になる陶磁器産地で脱炭素に向けた動きが始まった。

 セラテクノ土岐によると、脱炭素の関心が高まったこの1、2年、取引先の外食大手企業などが陶磁器メーカーに対し、温室効果ガス削減に向けた取り組みについて確認するケースが多くなっているという。

 プロジェクトは脱炭素に向けたスタートと位置付け、焼成時の燃料消費量を製品重量で割った数字を各メーカーが3カ月以上かけて計測。焼成温度や時間、ガス圧などの条件を見直し、温室効果ガスの排出削減に向けた活動を実践する。セラテクノ土岐は「陶磁器の製造で脱炭素化の実現は容易ではない」としながら「プロジェクトを通して地域ぐるみで脱炭素化に取り組む体制を構築したい」としている。

 光洋陶器(土岐市泉町久尻)は、6月ごろをめどに、独自に国際基準に基づいた温室効果ガス排出量の算出を目指す。海外の取引先から脱炭素に関する問い合わせが複数届くようになったといい、加藤伸治社長は「まずは排出量を算出し、脱炭素社会の中で自社の立ち位置がどこにあるのかを知ることから始めたい」と語る。

 同社は焼成方法の異なるトンネル窯3基を保有し、コロナ禍前の年間出荷製品数は約270万個に上る。加藤社長は「近い将来、環境に配慮したものづくりをしないと、取り引きをしてもらえなくなることも考えられる」と受け止め「参加しているプロジェクトで好事例などの情報を共有するほか、企業同士で協力して取り組む部分が出てくるかもしれない」と見据える。