名古屋地裁

 認知症の妻の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた愛知県あま市の無職大崎九五被告(90)の裁判員裁判で、名古屋地裁は10日、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。求刑は懲役3年。

 坂本好司裁判長は判決理由で、妻が2021年に認知症と診断されて以降、頻繁に徘徊やトイレ以外で排せつすることがあり、見守りや掃除など対応に苦慮していたと指摘。事件前日、妻が発熱してデイサービスなどが利用できず「先が見えない」と行き詰まりを感じ、事件を起こしたと認定した。

 ケアマネジャーに相談したり親族に助けを求めたりしていた点を考慮し「社会の中で妻を弔う機会を与えるのが相当だ」と結論づけた。