日銀は10日発表した7月の地域経済報告(さくらリポート)で、全国9地域全てで景気判断を据え置いた。この日開いた支店長会議では、トランプ米政権の高関税政策を受け、設備投資に関し「不確実性の高まりを背景に投資の先送りや見直しを検討・実施する動きがみられる」として、企業側の警戒感が高まっている状況が報告された。

 各地域の景気に関しては一部に弱めの動きがみられるとしながらも、全9地域で「緩やかに回復している」「持ち直している」などと総括した。

 設備投資について、米政府の高関税措置の影響から「取引先の投資計画先送りで能力増強投資を半年程度延期させる方針」(電気機械)、「不要不急の設備投資を見直す」(自動車関連)などの声が企業側からあった。一方、IT関連需要の拡大や人手不足を踏まえ、生産性向上やデジタル化に向けた投資意欲は底堅いとの報告も出た。

 会議後に記者会見した正木一博大阪支店長は米関税政策を巡り「不確実性はなお大きいとみている経営者は多い」と指摘した。