【サンパウロ共同】トランプ米大統領がブラジルからの輸入品に50%関税を課すと表明したことを受け、ブラジル政府が報復関税などの対抗措置について8月1日以降に実施する方向で調整していることが10日、分かった。国内経済への悪影響を精査し、米国の関税引き上げに先立つ報復措置は見送る方針だ。ブラジルメディアが報じた。
トランプ氏は9日にブラジルへの新たな「相互関税」として8月1日から50%の関税を課すとの書簡を公表した。4月の相互関税公表当初の10%から5倍に引き上げる内容だ。これを受け、ブラジル政府は報復措置の議論を開始しており、報復関税の税率や対象範囲を慎重に見極める構え。関税措置以外の対応も模索するという。
ブラジルは米国から機械や医薬品などを輸入しており、米国に50%の報復関税を課した場合、国内のインフレ率上昇につながるとの懸念がある。
ブラジル地理統計院が10日発表した6月のインフレ率は前年同月比5・35%。中央銀行が目標の上限とする4・5%を上回る状況が続く。