昨年8月9日の「原爆の日」に営んだ平和祈念式典に長崎市がイスラエルを招待せず、日本を除く先進7カ国(G7)の大使が欠席した混乱を踏まえ、市幹部がG7各国とイスラエルの大使館を訪れるなどして、今年の式典への出席を直接要請していたことが11日、市などへの取材で分かった。例年は招待状を郵送しており、「特例」の対応を取った。
ウクライナ侵攻を理由に、昨年まで3年続けて招待しなかったロシアとベラルーシにも同様の対応をしたという。既にイスラエルとロシアは出席の意向を示している。
市は昨年、パレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルの招待を見送った。米国は「政治的な決定だ」と反発。G7と欧州連合(EU)の大使がそろって欠席する事態となっていた。鈴木史朗市長は今年5月、「原爆犠牲者の慰霊という式典の本旨に立ち戻る」と述べ、今年は日本に在外公館を置く全ての国・地域を招くと発表していた。
市幹部は取材に、訪問して要請した理由を「政治的理由でないことなど、各国に改めて丁寧に説明すべきだと考えた」と述べた。