大阪・関西万博のカナダ館で、時間外労働があることを定めた労使協定(三六協定)が職場で周知されないまま、開幕当初から約3カ月間残業が発生していたことが11日、分かった。複数のスタッフが明らかにした。協定は労働基準法で周知が義務付けられており、スタッフ側は「残業があることが採用時に知らされなかった」と主張。雇用主の人材派遣会社は労働基準監督署から不備を指摘され、今月になって協定文書を周知した。
協定には休日や時間外の労働時間の上限等が定められており、厚生労働省は「一般的に、労働者へ周知していない場合には違法となる」としている。一部パビリオンでは工事費の未払いも発覚しており、万博におけるコンプライアンスの在り方が改めて問われそうだ。
派遣会社は「BLR JAPAN」(東京)。同社の弁護士によると、共同通信が厚労省を取材した直後の今月3日、三田労基署(東京)から指摘を受け、スタッフが利用するアプリで協定文書を見られるようにした。