参院選の投開票を前に「外国人への生活保護は違法」「日本人より簡単に受給できる」といった投稿が交流サイト(SNS)上に出回っている。厚生労働省はこうした主張を「間違い」と明確に否定。外国人の保護停止を訴える参政党に対し、識者からは「現実とかけ離れたイメージで語られている。公的なデータや現場を知って」との声が上がる。
生活保護法は適用対象を「国民」としており、旧厚生省は1954年、外国人に関し同法に準じて扱うと通知。人道上の観点からで、90年には対象を永住者らと明示した。2014年の最高裁判決は同法の「国民」に外国人は含まれないとしたが、「行政措置による事実上の保護の対象にとどまる」とも言及。現在まで自治体の裁量で保護費が支給されている。
厚労省は「違法というのは間違い。国籍によって要否判定を変えることもない」と明言する。23年度の受給世帯は165万478世帯で、うち世帯主が外国人のケースは4万7317世帯と全体の2・9%だった。
昭和女子大の奥貫妃文教授は「最高裁判決と通知による運用の内容を正しく理解するのはかなり難しい。それを理解しているはずの一部政治家によって、不正確で雑な解釈が拡散されている」と指摘する。