2025年度の海上保安官の募集ポスター(海上保安庁提供)

 海上保安官を養成する海上保安学校(京都府舞鶴市)が、2025年度の採用試験の募集を始めた。多様なスキルを習得し、海の安全を守るやりがいのある仕事だとアピール。意欲ある人材を求めているが、長期の航海や離島への赴任といった勤務形態が敬遠され、応募者は減少気味だ。巡視船に個室やインターネット環境を整備するなど、「働きやすい職場づくりを進めている」と採用担当者は話す。

 海上保安庁の業務は、海難救助や領海警備、密輸などの犯罪捜査と多岐にわたる。映画やドラマになった「海猿」では、潜水士の仕事が脚光を浴びた。海外に派遣されて海賊対処に当たる職員もおり、活躍の場は世界に広がる。

 だが近年、若手を中心に辞める職員が急増。24年度は自己都合による退職者は389人で、85%以上が20〜30代だった。沖縄・尖閣諸島周辺を航行する中国船への対処などのため、政府は13年度以降、定員を増やし続けてきたが、24年度に初めて定員割れとなった。