東京海上日動火災保険が、クマを駆除するための発砲による流れ弾で生じる建物などへの被害を補償する自治体向けの保険の提供を始めることが16日、分かった。自治体の判断で市街地にいるクマに発砲する「緊急銃猟」が9月から可能となることを受けた。クマによる人的被害が深刻化する中、発砲による周囲への被害を保険で対応できるようにすることで、地域住民の安全確保につなげる狙いがある。
9月に施行される改正鳥獣保護管理法により、クマやイノシシが住宅地などに侵入し、人命のために緊急の対応が必要といった一定条件を満たせば、自治体の判断でハンターによる発砲が可能になる。緊急銃猟で発射した弾が付近の建物や乗り物を壊した場合、市町村長が被害者に補償すると規定されている。
新たな保険では、こうした損失を3千万円までカバーする。保険料はクマの出没頻度など地域によって異なるが年間10万円程度に設定。環境省の交付金も活用できるよう設計した。近く自治体向けに説明を始める。人身事故が発生した場合は、保険の対象外とした。