16日に選考会が開かれた芥川賞と直木賞はともに該当作なしという結果になった。書籍の売り上げに影響を与える賞レースで、書店関係者からは落胆の声の一方、誠実な選考が担保された結果だという指摘もあった。
直木賞選考委員の京極夏彦さんは「大変残念だがやむを得なかった。じくじたるものもあるが、大きな賞であり、責任がある」と説明。「選考委員9人それぞれの見識が違い、違うからこそ選考ができる。本当にきちんと選びたいと全員が思っており、極めて公平性は高い」と強調した。
「選考委員が賞のブランドを守るために選出しなかったのだろう」と推測するのは、ライターの永江朗さん。両賞の選考会が1年に2回行われていることに言及し「半年に1作も傑作が生まれるのだろうか。選考委員がしっかりと議論している証左。無理に選出すれば賞そのものの意義を失うことになるだろう」と話す。
往来堂書店店長の笈入建志さんは「残念の一言。受賞作が全国ニュースとして報道されることが書店の売り上げに直結するので、マイナスの影響がある」と落胆した。