65歳を境に障害者総合支援法に基づく給付費の申請が却下され、自己負担が生じる介護保険の利用を強いられるのは不当だとして、脳性まひ患者の天海正克さん(76)が千葉市に処分取り消しなどを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は17日、「介護保険を優先することが前提だ」との初判断を示した。裁判官5人全員一致の結論。
介護保険法は、65歳以上は要介護認定により給付を受けることができると定める。この給付が優先され、不足分を支援法に基づく給付で補うことになるが、介護保険に一律移行するため「65歳の壁」と呼ばれ、制度改正を求める声もある。
第1小法廷は、支援法の規定は「介護保険を優先することを明らかにしたと解される」と指摘。その上で、市の処分の妥当性を判断するには、要介護認定がなかったとしても支援法に基づくサービスを受けられる事情があるかどうかを考慮すべきだとし、こうした検討をしていないとして二審東京高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。