ガザ北部ガザ市で、食料配給を待つ人々=19日(ゲッティ=共同)

 【エルサレム共同】パレスチナ自治区ガザに侵攻するイスラエル軍は20日、ガザ中部デールバラハ西側の一部住民に退避通告を出した。イスラエルメディアは、同国軍が周辺地域で地上侵攻を拡大する計画だと報じた。停戦交渉が続く中、イスラム組織ハマスに一段と圧力を強めた。

 イスラエルメディアによると、ガザ中部全域には推計35万人が暮らす。退避先に指定された南部ハンユニス西方マワシ地区には既にテント暮らしを強いられた住民が多く、混乱は必至だ。ハマスに拘束されているイスラエル人の人質の家族は、侵攻拡大が人質の命を危険にさらす恐れがあると強い懸念を示した。

 中東メディアによると、デールバラハで20日、4歳の女児が栄養失調で死亡した。北部ガザ市でも19日、生後35日の新生児ら2人が栄養失調で死亡した。イスラエルはガザへの支援物資搬入を大幅に制限しており、人道危機の悪化に歯止めがかからない。

 世界食糧計画(WFP)は11日時点で、約50万人のガザ住民が飢餓状態だと見積もる。