日銀の内田真一副総裁は23日、高知市で記者会見し、日米が関税交渉で合意したことについて「大きな前進だ。日本経済にとって関税政策を巡る不確実性の低下につながる」と評価した。ただ、中国など他の主要国と米国の交渉が継続していることから先行きに不透明感は拭えず、不確実性は「当然ながら残っている」とも述べた。
日米で合意に達したものの、内田氏は関税の影響をデータで確認できるまでに「どのぐらいの期間がかかるのかがあまりはっきりしない」と語った。国内の経済や物価にどのような影響を及ぼすかについては、内容を精査した上で「しっかり分析していきたい」と述べるにとどめた。
日銀は30、31日に開く金融政策決定会合後に「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表する。内田氏は、米関税政策が世界経済や企業収益にマイナスの影響を与えるとの見方を堅持した上で「日本の成長率はいったん鈍化し、(一時的な要因を除いた)基調的な物価は伸び悩むという姿になる」と述べた。