「12式地対艦誘導弾能力向上型」の地上からの発射試験=2024年10月、東京都の伊豆諸島・新島(防衛装備庁提供)

 初の国産長射程ミサイルとして開発が進む「12式地対艦誘導弾能力向上型」の最初の配備先に関し、防衛省が陸上自衛隊健軍駐屯地(熊本市)とする方向で最終調整していることが28日、複数の政府関係者への取材で分かった。2025年度末になる見通しで、日本は反撃能力(敵基地攻撃能力)を保有することになる。来春以降、湯布院駐屯地(大分県)にも置く方針で、将来的に勝連分屯地(沖縄県)への配備も見据える。

 南西諸島周辺で軍事的圧力を強める中国をけん制する狙いがある。一方、他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力を巡っては、長射程ミサイルの配備先が標的となるリスクが高まるとの指摘のほか、専守防衛の理念に反するとして、懸念の声も根強い。

 政府関係者によると、配備されるのは、12式能力向上型のうち、地上の発射機から撃ち出す「地発型」。千キロ程度の飛翔が可能で、九州からでも大陸の一部が射程に入る。健軍駐屯地を拠点とする第5地対艦ミサイル連隊が運用を担う。