滋賀県庁で記者会見する三日月大造知事=29日午前

 大阪府の吉村洋文知事は29日、北陸新幹線敦賀(福井県)―新大阪延伸区間の早期開業に向けた決議の採択を見送る意向を示した。大阪の官民組織でつくる協議会が2019年以降、国や与党への要望を毎年まとめてきたもので、今年は意見集約が困難と判断。記者会見で「状況が変わってきた。もう少し議論を深めた方がいい」と述べた。

 決議のため8月4日に開催予定だった会合は延期する方針。延伸ルートを超党派で議論するよう国に提案する考えも明らかにした。

 新大阪延伸を巡っては、自民、公明両党が目指す福井県小浜市や京都市を通る現行案「小浜ルート」に対し、日本維新の会は滋賀県を通る「米原ルート」を選択肢に含むよう主張している。

 維新代表の吉村氏は昨年まで小浜ルートを推進する立場だった。整備費増額や工期の長期化、京都府内の地下水への影響を懸念する声を理由に慎重姿勢に転じた。会見で2ルート案を踏まえ「費用対効果を含めて冷静に判断したい」と語った。