中国の人工衛星「実験24C」3基を搭載して打ち上げられるロケット=2023年12月、中国広東省(CNS=共同)

 【北京共同】中国軍が宇宙空間で衛星同士の接近戦の演習を実施したことが29日までに分かった。米軍高官が明らかにし、中国の宇宙技術が米国に迫っていると警告した。日本防衛省は28日、中国やロシアの脅威に備えるため「宇宙領域防衛指針」を初めて策定したと発表。日本も宇宙空間の防衛能力強化を急ぐ。

 米航空宇宙局(NASA)の職員減少が米国の宇宙開発に悪影響を与えると予想される中、中国は米国に対抗して月面や火星の探査計画を進めるとともに人工衛星の配備を加速。中国による宇宙の軍事利用に懸念が強まっている。

 米メディアによると、グートライン米宇宙軍作戦副部長は今年3月、首都ワシントン近郊で開かれた国防関連の会合で、米国とほぼ同格の敵が宇宙空間で訓練を行ったと発言。「五つの物体が制御された動きで出入りしたり、互いの周囲を回ったりするのを確認した」と明らかにした。

 宇宙軍の報道官はグートライン氏が言及したのは2024年に宇宙の低軌道上で行われた中国の人工衛星5基の動きだとCNNテレビに説明した。