長野県大町市にある慰霊碑

 オウム真理教幹部らに坂本堤弁護士=当時(33)=の一家3人が殺害された事件後、それぞれの遺体が見つかった場所に設置された慰霊碑の維持管理を、9月以降は日弁連が主体で担うことになった。これまで担当だった弁護士有志らの高齢化なども考慮し、遺体発見から30年を機に風化防止のため組織での管理を決定。日弁連の担当者は「業務妨害の原点となる事件を、弁護士界全体で忘れずに語り継ぐ意思表示だ」としている。

 教団信者の脱会支援をしていた坂本弁護士と、妻都子さん=当時(29)、長男龍彦ちゃん=同(1)=は1989年11月、横浜市の自宅で殺害された。3人の遺体は新潟、富山、長野各県の山中に埋められ、95年9月6〜10日に見つかった。

 慰霊碑はいずれも97年9月、有志による「坂本弁護士と家族を救う全国弁護士の会(救う会)」が主導して建立した。救う会は各慰霊碑の地権者との交渉や必要な手続きを担い、設置後は地元の自治体やボランティアが清掃活動などに協力してきた。