三菱商事の看板
 洋上風力発電所建設計画からの撤退について話す、三菱商事の中西勝也社長=27日午後、東京都千代田区

 三菱商事は27日、秋田・千葉両県沖の3海域で進めてきた洋上風力発電所の建設計画から撤退すると発表した。中西勝也社長が東京都内で記者会見し、建設費用が入札時の見込みから2倍以上に膨らんだことで採算が合わなくなったと明らかにした。中部電力子会社などと企業連合を組んで臨んだ大型プロジェクトが計画倒れに終わり、政府の再生エネルギー戦略は岐路に立たされる。

 中西氏は、事業継続が困難との判断に至ったと説明した上で「このような結果になったことを大変重く受け止めている」と述べた。「地元の期待を裏切る結果になって大変申し訳ないと思っている」とも語り、今後、秋田と千葉両県に直接出向いて経緯を説明する考えを示した。

 3海域は「秋田県能代市、三種町および男鹿市沖」と「秋田県由利本荘市沖」、「千葉県銚子市沖」。2028〜30年に順次運転を始め、52年まで操業する目標だった。

 三菱商事連合は21年、固定価格買い取り制度(FIT)を利用した売電価格で競合よりも圧倒的に安い水準を提示して落札。経済産業省が22年に事業計画を認定した。