【ロンドン共同】英国各地で難民排斥を訴えるデモが拡大している。難民審査の待機者が宿泊するホテルに対し、高等法院が滞在を差し止める仮処分命令を下したのがきっかけ。スターマー政権は「難民ホテル」を段階的に廃止すると確約したが、難民受け入れそのものに反対する市民の抗議が続く。政権への非難が拡大している。
「スターマーは無能だ!」。南東部ハートフォードシャーのホテル前に22日、住民ら約300人が集まり、怒りの声を上げた。「(難民の)ボートを止めろ」と書いたプラカードを持つ人も。爆竹が鳴るなど緊張感が漂い、警察も出動した。
英国では難民申請者は決定が出るまで政府借り上げのホテルに滞在可能。捜査当局などによると、7月、南東部エセックスでホテル滞在の男性が少女(14)にキスをしようとしたなどとして訴追され、立ち退きを求める抗議デモが起きた。
地元自治体は今月12日、このホテルの所有者に難民滞在の差し止めを請求。高等法院は19日、難民宿泊は目的外利用だとして請求を認めた。同様の法的措置を検討する自治体も複数あるという。