奈良公園でシカに直接触れないよう注意を呼びかける関係者ら=8月、奈良市

 奈良公園(奈良市)にいる国の天然記念物「奈良のシカ」の生息頭数が4年連続で増加し、今年は過去最多の1465頭となったことが3日、保護団体「奈良の鹿愛護会」の調査で分かった。好物の鹿せんべいを求めて寄ってくる様子は訪日観光客にも人気だが、シカによるけがも多発。共生のため県などが多言語で注意を呼びかけている。

 愛護会は7月15、16日に調査を実施した。内訳は雄315頭、雌816頭、子ジカ334頭。合計で昨年より140頭多かった。立ち入り禁止区域などを除く調査エリア内で、目視で数えた。同じ方法での調査は1953年から実施。これまでの最多は2019年の1388頭だった。20年、21年と減少し、その後は増加が続く。

 雄の角などによる人身事故件数も増えている。県によると21年度を境に右肩上がりとなっており、24年度は159件。うち外国人が111件だった。写真撮影のために過剰に触れたり、鹿せんべいをじらして与えたりすることが事故につながっている。