2025年夏の甲子園ベスト4の礎を築いた県岐阜商前監督の鍛治舎巧さん。「No.1への道」と題し、アマチュア球界の第1人者である名将がチームづくり、選手育成、戦略・戦術のすべてをあますところ公開する。

(4)私の考える『行動のあり方』

 多感な10代半ばに、いかに行動するかという心の座標軸を定めることは人生を生き抜くうえで大切なことだ。

 『強くなければ生きていけない 優しくなければ生きていく資格がない』レイモンド・チャンドラーの言葉である。弱い立場の人を思いやる優しさは勝つことに優先する。真心のこもった裸のままの親切こそが友情を育み、人の心を動かす唯一の手段である。

 それを前提に、強い人や集団には常に『正義』が念頭にあるべきだ。『正義』とは、道理に適(かな)った正しいことだ。

 具体的に『正義』とは何か…分りやすく言えば困っている人を助けることである。弱い人、より以上に強い人が持っているもの、それが『正義』だ。正しい行動とは何か…恒(つね)に自分の中に答えを求めることだ。

 さらに言えば『正義』とは、広く調和が整っていることでもある。

髙木翔将斗(広島)、野崎慎裕(法大)世代、2022年春卒業式当日巣立っていく

 以下に示す『行動基準』に沿い、優れた行動や生活態度を身につければ チーム内に調和が生まれ、その中で人は進化し続けてゆく。ひとりでは何もできない。しかしひとりが始めなければ何も変わらない。君がそのひとりになろう!!

 【行動基準細則】

(1)登下校に際して

 第1条 登下校時は、休祭日含め学校指定の服装とする。制服の第一ボタンは留める。

 第2条 電車・バス等乗客に立っている人がひとりでも居たら座席に座らない。乗り物の床には、絶対に座らない。

 第3条 乗り物内では、無駄な会話は避ける。週刊誌・PSP・DS・トランプ・ゲームなどを禁止する。

 第4条 登下校時、コンビニ等での飲食・レンタルビデオや書店での立ち読み・ゲームセンター立ち寄り等を禁止する。下宿生はトレーニング室2階でシャワーを浴び着替えてから下校することも可。

 第5条 片手で傘をさしたり、携帯・飲食しながらの自転車運転は禁止。常に1列で左側走行する。

 第6条 部員以外の生徒と待ち合わせての下校は禁止する。帰宅時は、うがい、手洗い、消毒、検温を欠かさない。

 第7条 登下校時のマフラー・ネックウォーマー等着用禁止。試合では着用出来ない。

(2)遠征・移動に際して

 第8条 遠征時の服装はあらかじめ定められたものに限る。

 第9条 乗物内での禁止事項、買い出しに際しての禁止事項は、登下校時の留意事項と同様とする。

 第10条 道路歩行に際しては、1列で端を歩く。

 第11条 廊下・エレベータ・エスカレーター内では、私語禁止。部屋の外では...