顕微鏡で見た花粉。水に触れて破裂する様子が確認できた

 花粉症のシーズンが到来している。岐阜県耳鼻咽喉科医会の花粉情報によると、4月上旬の現在は「ヒノキ花粉が飛び始め、スギ花粉も再び増加する見込み」という。花粉を顕微鏡で観察すると、水に反応して破裂する様子が確認できた。目や鼻の中でも同じことが起きているのだろうか。花粉症のメカニズムを、阪野(ばんの)クリニック(岐阜市清住町)の阪野勝久院長(49)に聞いた。

 

 この季節は車の表面がほこりっぽくなり、窓ガラスに粉のようなものが付着していることが多い。それを採取し、顕微鏡で見ると正体は花粉。倍率10倍でスマートフォンのズームを併用して撮影した。突起のある丸い物体がスギ花粉らしい。水に触れると膨らむように中身が出てきて、ぱかっと割れてはじけた。

 日本気象協会は、今年の県内の花粉飛散量を昨シーズンと比べて「多い」(1.35~2倍)と予測している。調べると、スギやヒノキは、花粉を風に乗せて運ぶ「風媒花」。雄花から舞い上がった花粉は、雌花にたどり着くと雌花内部の分泌液に触れて破裂。受粉を完了させるという。人体でも、これと同じ現象が起きているようだ。

 阪野院長が人体での反応を解説する。「花粉が目や鼻の粘膜に付着すると、花粉が割れて内容物が出てくる。これらは割れた後の殻も含めて、アレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)。私たちの体はこれを異物と認識して追い出そうとする。その時の反応が花粉症の症状だ」

 免疫(アレルギー)反応の一種で、人体は花粉の侵入を防ごうと、細胞からヒスタミンやロイコトリエンといった物質を放出。粘膜を炎症させ、鼻づまりや目のかゆみなどを引き起こすほか、花粉を外に出すために鼻水や涙、くしゃみが増えるという。

 そのため、花粉症にはヒスタミンの働きや炎症を抑える薬が用いられる。花粉症の人は「スギなどの花粉に対する抗体(特異的IgE抗体)を持っているのでアレルギー反応が起きやすい状態になっている」と阪野院長。治療法は花粉のエキスを含んだ薬を、少量ずつ舌の下に置いて吸収させる「舌下(ぜっか)免疫療法」(保険適用)が主流という。

 今年も多くの花粉が飛散しているが「コロナ下でマスクを着ける習慣が定着して花粉症で来院する人が減った」という。ただ「花粉症は体質」といい、症状が重い人は他の類似したアレルギーを持っている可能性も。阪野院長は「アレルギー検査を行うなどして自分が何に反応するのか、特性を知っておくと予防しやすい」と呼び掛ける。