「感染対策の徹底を」と感染力の強いオミクロン株への注意を促す県医師会長の河合直樹医師=岐阜市内

 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の市中感染が岐阜県内でも広がり始めている。感染力が強く、今後の爆発的な感染拡大が懸念される中、県の専門家会議メンバーで県医師会長の河合直樹医師は「感染力はデルタ株より3倍ほど強い。今のところ肺炎は少なく、鼻や喉の症状が中心で比較的軽いが、せきやくしゃみ、大声を出すことで周囲にウイルスが広がりやすい」と指摘し、第6波につながる感染急拡大を引き起こさないために、マスク着用や部屋の換気など基本的な感染対策の徹底を改めて呼び掛ける。

 オミクロン株は、ウイルス表面にあるスパイクタンパク質に多くの変異があり、細胞の受容体に結合しやすく免疫から逃れやすいことから感染力が高まるという。ウイルスは鼻や喉など上気道にとどまりやすく、肺炎などの重症化は今のところデルタ株よりも低いとされる。

 河合医師は「今は20~60代の感染が中心だが、高齢者や基礎疾患のある人などは重症化リスクが高い可能性があり、感染者が大幅に増えれば、それに伴い重症者も一定割合で増える。医療従事者が多く感染すると医療現場が回らなくなる可能性もある」と、今後の医療逼迫(ひっぱく)も懸念する。

 3回目の追加接種が始まっているワクチンによる発症や重症化の予防効果については「デルタ株と比べ、オミクロン株への効果は低い傾向にあり、接種してから日がたつと発症予防効果は大幅に下がる。2回の接種でも重症化はある程度抑えられるが、3回目の接種を行えば、ウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ中和抗体が大幅に増えて発症や重症化の予防効果が高まる」とし、迅速な3回目の接種が感染抑止にもつながるとする。

 治療では、デルタ株で有効だった抗体カクテル療法は効果が低い可能性があるという。一方、米製薬大手メルクが開発した飲み薬「モルヌピラビル」は供給量はまだ少ないが、発症5日以内に投与を開始すれば、軽症-中等症の人が重症化するのを防ぐ効果が期待できる。

 だが、何よりも重要なのは「基本的な感染対策」と強調する。新型コロナに限らず、気温、湿度が低い冬場はウイルスの活動が活発になり、空気中にとどまりやすい。そのため定期的な部屋の換気や3密の回避、飛沫(ひまつ)予防として会話時のマスク着用の徹底を促す。「オミクロン株はデルタ株よりも軽症者が多い傾向にあるが、その分、軽症者や自覚症状の乏しい人が十分な対策をせずに街を動き回れば、市中感染を広げることになる」と、一人一人の節度ある行動を求めている。